理論物理学特論(2003年度前期)

授業科目名
理論物理学特論
担当教員名
樋口三郎
講義内容

ニュートン方程式に従う力学の世界は, 初期条件が定まればその後の運動がすべて定まる決定論的な世界です. しかし, 複雑な自然現象や社会現象を考える際には, むしろ, 時間発展が確率的に定まると考える方が便利なことがあります. 例えば煙の運動は, 煙粒子とすべての空気分子との衝突を運動方程式で計算するよりも, 空気分子がでたらめにぶつかって力を及ぼすと考えた方が よく理解できます.

このような現象を扱うための, 統計力学の確率モデルについて述べます. 確率モデルを計算機上で実現するための実用的技術にもふれます. 大学初年級程度の確率の知識だけを前提とします.

授業計画
前期14回
  1. ランダムウォークと拡散方程式
  2. 母関数と数え上げ
  3. 自己回避ランダムウォーク
  4. 一様乱数と計算機によるその生成
  5. 非一様乱数と計算機によるその生成
  6. モンテカルロ法
  7. いろいろな確率過程
  8. マルコフ過程
  9. マルコフ連鎖
  10. ランジュバン方程式
  11. フォッカー-プランク方程式
  12. 分岐過程
  13. パーコレーション
  14. コンタクトプロセス
テキスト
なし
参考文献
その他

講義で扱ったモデルを各自で計算機上に実現してみると, より理解が深まるでしょう. そのための情報も提供します.

http://sparrow.math.ryukoku.ac.jp/~hig/theorphys/で講義についての情報, 資料を提供しているかもしれません.


Saburo HIGUCHI, hig mail address